
先週末、日本動物虐待防止協会のシンポジウムに行ってきました。
パネリストは浅田美代子氏、成田司氏、マルコ・ブルーノ氏、藤野真紀子氏、
太田匡彦氏、進行は協会代表理事の藤村晃子氏。協会名誉会員のデヴィ夫人
も出席されていました。
最初に、ドキュメンタリー「最後の瞳」の上映がありました。
不要犬・猫回収車に同行し、捨てられる命の現状について協会が取材した
フィルムです。定時定点収集のことは太田氏の本にも書かれています。
実情は知っていましたが、実際に飼い主の自分勝手な理由を耳にしながら、
悲しい目をした犬猫たちの映像を見るにつけ、日本の制度・飼い主のモラル
の低さに腹立たしさを覚えました。
次に各パネリストによる動物愛護法改正に関連するスピーチでした。
元ペット店関係者の成田氏。9月に
麻布大で開かれたシンポジウムでも講演
され、元ペット業界側の人間として、自らの手で殺処分をしてきた事実、
ペットオークションの現状などを話され、売る側&買い手のモラルの低下
についても言及されていました。もし、動物を物扱いとするならば、PL法も
適用できるのではないかとの意見もされました。
アエラ記者の太田氏。幼齢犬の販売を8週齢と規定する難しさについて話され
ました。業界が真っ向から反対し、自主規制に任せるよう要望書を行政に提出
している事実(その中には有名ペットフード会社なども含まれています。)
実際にペットオークションでは40日ギリギリで販売(34日足らずの柴犬もいた)
されている現状。そこでは1日約1,000頭ものパピーがせりにかけられているそう
です。業界が8週齢に反対する理由として、パピーの在庫を抱える手間と経費、
衝動買いを促すことができなくなることなどがあげられます。6週齢~8週齢
において特に社会性が身に付くと言われているなか、その説には何の根拠もなく、
パピーは消費者が求めているからだとの勝手な言い訳をしている業者たち。
この蛇口を閉めないことには、殺処分が減ることはないと氏は訴えています。
動物愛護支援の会代表、ブルーノ氏。多方面で活躍されている氏が、動物愛護の
活動をされるきっかけとなったのが、足立区に引っ越したことでした。荒川の
河川敷から犬を一匹ずつ引き取り、気が付いたら24頭になっていたそうです。
ブルーノ氏は、日本の動物愛護法は曖昧であると指摘しています。日本では
「動物を
みだりに殺してはならない。」と記されているところ、ドイツ・オース
トリア(氏の母国)では、「動物を殺してはならない。」とはっきりと記されている、
「みだりに」とはどういうことかと。罰金にしても「50万
以下の罰金」具体的に
何も規定されていないのです。日本では道路交通法だけが唯一まともな法律だと
おっしゃっていました。また、欧州では、EU統合以降、問題がある毎に法の改正
がされているが、日本では何故5年に一度しか動愛法は改正されないのかとも。
最後に、実行力のある法律に改正し、そのためには、我われが感情的にはならず、
理屈攻めで行政に意見をぶつける、世論の大切さを話されていました。
女優の浅田氏。自らも保護犬を家族に迎え入れ、動物愛護管理のあり方検討小委員会
にも出席されています。この日、セミナーに参加される前に寄られたペットショップ
で見てきた現状を話されました。震えている幼齢犬を可愛い可愛いと抱くお客たち、
飼い主のモラルの低さにも問題があると。幼齢犬を安易に求め、飼えなくなったから
と勝手な都合で捨てる飼い主にも問題があります。家族として一生涯責任を持って
飼って欲しいと氏は願っています。
元国会議員、藤野氏。現在も精力的に法の改正に向けて取り組んでおられます。
ほかのどの家族よりも自分を信じてくれた犬たち。その犬たちの信頼を裏切らない
ためにも自分ができることをやっていこうという氏の姿勢に感動しました。
藤野氏は法の改正に向けて3つの課題を上げていました。
1.虐待の定義を明確にすること。2.流通を小さくする、ペットオークションを
無くすこと。現在のあり方を急に変えることはできないため、生体販売の10ヵ年計画
を考えているそうです。3.ペットのための税金の使われ方について。
エントラプーレでも動物愛護法改正に向けて、署名活動やデモにも積極的に参加して
いこうと思います。
現在の愛護法が動物のために改正されることを願って。